「終わるときがきた」公演を終えて

ARICA+越田乃梨子『終わるときがきた』は、無事千秋楽を迎えることが出来ました。回を重ねる度に多くの方がお越し下さりました。感謝申し上げます。

 今回、映像作家の越田乃梨子をコラボレーターとして迎え、舞台に実在する「身体」と、それを捉えた「映像の身体」の関係にフォーカスしました。

 越田は長年、身体と映像との関係を追求しており、私が2015年にその作品に触れた時から、共同で新しい舞台作品を生み出したいと望んでいました。

 同時に、長い間サミュエル・ベケットの現在性に関心を持っていたことから、主体の分離と記憶のテーマに関し、映像の力を借りて照らし出すことが出来るのではないかと考えていました。そして、越田の映像コンセプトでクリエーションをすすめ、倉石信乃のテクストを得て、それがコロナ禍で顕著になった貧困や不寛容の問題にも重なり合い、今作はリアリティを獲得したと感じています。

 今後も「終わる」ことなく前に進み続けて行きたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

2022年12月                                          

ARICA演出 藤田康城