ARICA(ありか)

2001年、演出家藤田康城、詩人・批評家倉石信乃、アクター安藤朋子、プロデューサー前田圭蔵、音楽家猿山修の5人でARICA を設立。
その後テキスタイルコーディネーター・デザイナー安東陽子、グラフィックデザイナー須山悠里、テキスタイルデザイナー渡部直也、美術家高橋永二郎、パフォーマー茂木夏子、制作福岡聡らがコアメンバーになる。
ソロ・パフォーマンスを軸としながらも、作品ごとにダンサー(山崎広太、黒沢美香、神村恵)や俳優(戌井昭人、奥村勲)、音楽家(福岡ユタカ、イトケン)や美術家(西原尚、金氏徹平)、アクショニスト首くくり栲象らをゲストに招き、多分野の人々とのコラボレーションは、演劇やダンスといった枠を超え、ヴィジュアルアートや音楽、建築やデザインなどのクリエイティブ・ワークと呼応するパフォーマンスとして注目を集めている。
一方、長年サミュエル・ベケットの研究を続けており、その成果としてベケットにインスパイアーを受けた作品も上演している。東京ワンダーサイトや、桐生のノコギリ工場跡地、西麻布スーパーデラックス、横浜・BankART NYKなどといった、いわゆる既成劇場ではない空間での上演も多く、そのサイト・スペシフィックなアプローチや、身体と共振するライブ演奏、メカニカルな装置の導入等を通じて、身体表現の新たな地平を切り開こうとしている。
国内だけでなく、海外公演も多数。近年はインドの演劇人との交流を深めている。

藤田康城(ふじた・やすき)
演出・美術

1962年東京生まれ。多摩美術大学で現代美術、東京都立大学でフランス文学を学ぶ。1995年劇団文学座・研究科演出部に在籍。1998年劇団ih舞台製作所に所属、演出と美術を担当し舞台の新たな表現を模索する。1999年より、劇団転形劇場の中心俳優の一人であった安藤朋子らと身体訓練をベースとしたエチュードを重ねる。その成果として2001年ベケットのテキストを構成した「彼女はそこに、再び、−ムーヴ・オン・ベケット−」を上演。「クワッド」に代表される後期ベケットのフォルマティブな身体的表現のアクチュアリティを探究する。2001年4月、プロデューサー前田圭蔵、作曲・演奏の猿山修、詩人・写真批評家の倉石信乃、そして安藤と共にARICA(アリカ)を設立。同年11月第1回公演「Homesickness」から、今まで全作品の演出を担当。2009年2月には、リゲティ作曲オペラ「ル・グラン・マカーブル」(新国立劇場・中劇場)の日本初演の演出を行い、日本のオペラ界においても高い評価を得た。
オーソドックスな演劇手法・言語を学んだ経験を持つが、劇言語=ドラマに主導される舞台に疑問を持ち、ARICAの活動では身体表現を中心としながら、言語、空間、音楽、装置が緊密に連繋し、演劇、ダンスの領域を越境する新たな舞台表現を探究している。

倉石信乃(くらいし・しの)
テクスト・コンセプト

1963年長野県生まれ。1988年多摩美術大学美術学部芸術学科卒業。1989年「ユリイカの新人」に選定され、以降詩作を発表。また批評家として美術・写真雑誌を中心に多数寄稿。1988–2007年横浜美術館学芸員としてマン・レイ展、ロバート・フランク展、菅木志雄展、中平卓馬展、李禹煥展などを担当。1998年第4回重森弘淹写真評論賞受賞。2011年日本写真協会賞学芸賞受賞。主な著書に詩集『使い』(2018年)、また批評・論集『スナップショット 写真の輝き』(2010年)、『失楽園 風景表現の近代1870–1945』(柏木智雄、新畑泰秀との共著、2004年)『反写真論』(1999年)などがある。 2010–12年、『沖縄写真家シリーズ[琉球烈像]』全9巻を仲里効と監修。2007年より明治大学理工学部准教授、2012年ハワイ大学マノア校客員研究員、同年より明治大学理工学部教授。現在、同理工学研究科総合芸術系の大学院プログラム「場所、芸術、意識」を兼任。

安藤朋子(あんどう・ともこ)
アクター

岐阜の田舎で生まれ、野に山に川に遊び呆けて育つ。大学進学で上京するが、
当時のアンダーグラウンド演劇に幻惑され、1977年太田省吾(劇作家・演出家)主宰の劇団転形劇場に入団、劇団解散後も太田と共に活動を継続し、数々の国際プロジェクトに出演。2001年演出家藤田康城、詩人・批評家倉石信乃らとARICAを創設、国内外で新作を発表し続けている。主な出演作品に『水の駅』『↑』(転形劇場)、『KIOSK』 『Ne ANTA』『しあわせな日々』(ARICA)など。

賞歴
2005年第17回カイロ国際実験演劇祭において、ARICA『Parachute Woman』の演技で、審査員特別賞のベスト・ソロ・パフォーマンス賞受賞。

映像作品出演
『十二単ーその着装』資生堂企画・科学映像館(Youtube)
映画『白日』(三宅流監督)
映画『秋の理由』(福間健二監督)
映画『あなたはわたしじゃない』(七里圭監督)

その他
2011年、2017年 インドでワークショップ
2017年度 東京大学大学院非常勤講師

安東陽子(あんどう ようこ)
テキスタイルデザイナー・コーディネーター

東京生まれ。武蔵野美術大学短期大学部グラフィックデザイン科卒業。株式会社布での勤務を経て、2011年「安東陽子デザイン」設立。多くの建築家が設計する公共施設や個人住宅などにテキスタイルを提供。シアターカンパニー・アリカでは衣装担当として参画している。近年の建築家との協働によるプロジェクトは、台中国家歌劇院(伊東豊雄建築設計事務所)、みんなの森 ぎふメディアコスモス(同)、西武特急Laview(妹島和世建築設計事務所)、京都市京セラ美術館(青木淳・西澤徹夫設計共同体)、白井屋ホテル(藤本壮介建築設計事務所)石巻市複合文化施設まきあーとテラス(同)などがある。著書「安東陽子|テキスタイル・空間・建築」(LIXIL 出版、2015年)。2020年〜多摩美術大学客員教授、名古屋造形大学客員教授を務める。

前田圭蔵 アドバイザー
猿山修 音楽家・デザイナー
須山悠里 グラフィックデザイナー
渡部直也 アーティスト
茂木夏子 パフォーマー
福岡聡 プロデューサー