No Exit

2008年11月21日

会場:横浜・BankART 1929 Studio NYK

Studio NYKの中に建てられたカフェ・スペースの屋根の上と、Studio NYKの天井の間の空間でパフォーマスを行った。観客は舞台を見上げて鑑賞するのだが、パフォーマーが後方に下がると厨房に隠れてその身体は見えなくなる。パフォーマーは電池で駆動する板状の乗物で移動する。しかし足元を観客は見ることが出来ないため、まるで幽霊のごとく浮遊し滑っているかのようだ。そして、歩幅、手のひら、頭の周囲等、全身各部分の実際のサイズを定規のように駆使して、建物を支える二本の柱の間を計測する。彼女にとってそこが唯一の自分の居場所であり、その場所を測定する行為でしか、自分の存在を確認できない。全身で何ものかを計測する女の真摯な仕事ぶりは滑稽でもあり、またどこか悲しみを湛え、見るものの心をうった。珠玉の小品。

演出:藤田康城
テクスト:倉石信乃(「homesickness」より)
出演:安藤朋子
音楽・演奏:高橋永二郎
舞台監督:宮田公一
照明:川口真人
音響:市村隼人 稲荷森健
衣装:安東陽子
衣装製作:渡部直也
映像:須山悠里
制作:前田圭蔵 天野未来
主催:BankART1929