TSUKAI

2009年11月6~8日(全3回公演)
会場:川崎市アートセンター アルテリオ小劇場

どこか遠い所からイノシシに導かれ、大きな荷物(段ボール箱に入った商品)とともに女がやってくる。彼女は長年行商をしており、この場所でも店を開こうとしている。しかし女は行商人であると同時に、戦争の言葉、死んでいった者の言葉を誰かに伝える役目も担わされているらしい。あるいは女自身が既に死者であるのだろうか。冒頭の長い暗闇の場面で、女は死者の国から現世へ飛躍を行う神秘的な時間を過ごすように見える。女が店舗を開こうとすると、二人の男女(神村恵、栩秋太洋)が地下から登場する。二人は通りすがりの者であり、同時に行商の女の分身なのかもしれない。その男女は行商の女に代わって、戦争下の国策宣伝の言葉を語る。行商の女は商品が入っている段ボール箱を整理し店舗を開き商品を展示していく。男女二人も、行商の女の仕事と相似するように、段ボール箱を重ねて彼らなりの「店舗」を作っていく。店舗が完成したと同時に、突然イノシシ(統御しえない野性であり、外部の暴力の象徴でもある)によってそれは倒壊する。行商の女は、長年の仕事を放棄することを決意し、店舗と商品を男女に「贈与」し、どこかまた遠い場所へ去っていく。男女は再び、戦争下の言葉を語り続ける。

テクスト・コンセプト:倉石信乃
演出・美術:藤田康城
出演: 安藤朋子・神村恵・栩秋太洋
作曲・演奏:猿山修・高橋永二郎・平本正宏
舞台監督:鈴木康郎
舞台監督助手:宮田公一
照明:木下尚己(ファクター)
音響:田中裕一(サウンドウェッジ)
機械装置:高橋永二郎
衣装:安東陽子(NUNO)
衣装アシスタント:渡部直也
映像:須山悠里
宣伝美術:山口信博+須山悠里
写真:宮内勝
制作:前田圭蔵・天野未来