檜垣女 Higaki-no-Onna
会場: HUNCH(東京・蒲田)



「毎日がたいへん? 歩くのもたいへん? 息をするのもたいへん? そのように見えます」
「せめて 少しは休みたい 次々にすることがあるから することをする たいへん」
老女物の秘曲として知られている能「檜垣」は、作者の世阿弥自身が幽玄の極致と説いている。
美貌を持ち舞に長けた遊女は、檜垣をめぐらせた瀟洒な家で暮らしていた。しかし、昔日の面影もない老女となった今、男を惑わした驕慢な生活の罪科によって、高熱の鉄桶に燃えたぎる釣瓶で川の水を汲み、熱湯に体を焼かれながら、仏にその水を供えるという贖いをさせられている。そして、僧の前で、往時を想って弱々しく舞い、成仏を願い消えていく。酷い話だ。
東京、蒲田の飲み屋街に位置する、檜垣ならぬコンクリートに囲われたビルに居着いた高齢の二人の女性は、若い「介護者」に助けられながら、日々を暮らしているらしい。
起きて、座って、顔を洗って、体操をして、日常の動作を言わば一つ一つの役務として全うする。ただそれを繰り返す。ときおり去来する昔日の華やかな記憶に、二人の心は揺れ動く。そして見守る介護者の「祈り」は届くのか。
ARICAは折々にゲストを招き協働している。今回は、コンテンポラリー・ダンス界で長年活躍している岡田智代と、演劇界で様々な話題作に出演を続けている若手俳優の矢野昌幸を迎え、「老い」「孤独」「共生」をめぐり、問う。
演出:藤田康城
コンセプト・テクスト:倉石信乃
音楽・演奏:福岡ユタカ
装置:高橋永二郎
衣装:安東陽子
出演:安藤朋子・岡田智代・矢野昌幸
舞台監督:原口佳子(モリブデン)
照明:岩品武顕 (with Friends)
音響:田中裕一(サウンドウエッジ)
衣装製作:渡部直也
宣伝美術:須山悠里
記録映像撮影・編集 神之門隆広
写真撮影:宮本隆司
制作協力:前田圭蔵
制作:福岡聡(カタリスト)
主催:一般社団法人ARICA
共催:醍醐ビル株式会社
協力:HUNCH
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成]、公益財団法人全国税理士共栄会文化財団
公演評
dance art 竹重伸一

