house=woman/家=女

2010年10月28日~11月14日(全14回公演)
会場:A to Z (新宿・歌舞伎町・個人ビル地下) 

暗闇。人影のない、廃墟めいた地下室にソファーがひとつ置かれている。ソファーがゆっくり動きはじめ、やがて停止し、その中から一本の腕が伸び出してくる。そして部屋の明かりを点す。どこからか女の声が聞こえてくる。国の掟に逆らって、兄を埋葬しようとした『アンティゴネー』の言葉である。更にソファーの中から足や頭も出てくる。女とソファーは一体になっているのだ。やがて女はソファーから分離し、打ち捨てられている家の扉と体を重ねる。そして扉に取り憑いた女は男=番人の言葉を語る。それに続く長い暗闇の中から、今度は白いドレスをまとって現れる。そのドレスの裾は異様に長く、女の体は垂直に引き延ばされたかのようである。そして、国家に対抗し、神へとつながる肉親への情の尊さについて激しく弁をふるうのだが、聞く人はだれもいない。『アンティゴネー』の孤絶の深さは、やがて人間存在の根源的な悲しみを掘り起こす。

演出:藤田康城
テクスト・コンセプト:倉石信乃(ソポクレス『アンティゴネー』より)
出演: 安藤朋子
作曲・演奏:猿山修・高橋永二郎
美術:高橋永二郎・藤田康城・安藤朋子

舞台監督:宮田公一
照明協力:balance,inc.
音響協力:田中裕一(サウンドウェッジ)
音響オペレーション:茂木夏子
機械装置:高橋永二郎
装置制作:高橋永二郎・勝本みつる・渡部直也・宮田公一
衣装:安東陽子
衣装アシスタント:真柴 純
宣伝美術:須山悠里
写真:宮内勝
制作:前田圭蔵