PAYDAY 公演評
江森盛夫(「シアターアーツ」2006年冬29号)
安藤朋子のパフォーマンス。舞台に現れた女はロープ・ダンサーだったらしい。その彼女は中空から降り立ちキオスクの売り子になった。さまざまな店の準備が大変だ。その準備の厳密な手順を彼女は嬉々として遂行してゆく。ダンボールの箱の中から取り出す品物はペットボトルの水。店先にペットボトルが林立してゆく。キオスクは水と新聞しか売らない。キオスクはいろんな品物が置いてあるはずだが、水と新聞だけの単調さに還元されるのか。PAY DAYに購買するサラリーマンの単調さがしのばれる。安藤はモノを売る、働くことの楽しさを明るく、ひとつの肯定性として力強く演じた。ロープ・ダンサーだったからこそ「商品を売ることは命がけの飛翔」(マルクス)が可能だった。